どっちを向いても何も無い

開幕



開幕のベルが鳴った。

三橋幾雄はどっしりと席に腰を下ろし、幕が上がるのを渋々といった感じで見ていた。

数日前、幾雄の元に手紙が送られてきた。

宛名は無く。切手も張って無かった。

幾雄は好奇心から手紙を開くと中からチケットが顔を出した。

それは、演劇に興味を持っていない幾雄でさえ知っている有名な劇団のものだった。

初めのうちは行かないと決めていた。

しかし、TVで流れるCMや雑誌の広告を見るたび自分が見に行くはずのモノがどんなものなのか気になってしょうがなくなった。

幾雄は、仕事を途中で切り上げ劇場へ向かった。

途中からでもいいから少し見てみよう、つまらなくなったら帰ればいい。

そう思い劇場へ入った。が、幾雄の席の両隣は誰も座っていなかった。

それどころか大ホールに似つかわしくないほど客が入って無かった。

幕が開き、始まって数分。

幾雄はおかしな事に気が付いた。

舞台袖から出てくる人、人、人。

明らかに、舞台衣装で無い人も壇上へあがっている。

あぁ・・・。舞台ってこんなに楽しいものなのか・・・。


  1. 2009/04/06(月) 18:00:30
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